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2013-06-01 (Sat) [長年日記]

_ ここまで共通項があるなら,どこかに根拠が見えてくるはずなのだが……

伝わる・揺さぶる! 文章を書く』を読み返していたら,以下の記述を発見した(強調は鈴木):

自分を透明にして(鈴木注:相手の文章を読む際に極力バイアスを排すようにして,の意味)いても、相手の文章を読んでいて、ふつふつとわきあがってくるものがある。これが論点の芽だ。文章で、目がとまるところは、心がとまるところだ。共感、驚き、違和感、反発を感じるところはマークし、感じたことをメモしよう。読んでいて、何か連想したら、直接関係ないことでも、ワキにメモしておこう。あとで考えると、そのギャップから論点が生まれることもあるからだ。

さて、相手の文章に引いた線や、つけたマーク、書き出したこと、これらすべてが、後で論点を立てる材料になる。

これとまったく同じアドバイスは『論文の教室』(新版ならばpp. 63–66)にも見られる.しかも『論文の教室』で示されている4つの観点である「メウロコ(驚き)」「ハゲドウ(共感)」「ハゲパツ(反発)」「ナツイカ(違和感)」が前述の強調箇所ときっちり符合している.ちなみに『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』は2001年出版,『論文の教室』の初版は2002年出版だが,偶然の一致なのかどうかなどは正直どうでもいい.それ以前に「なぜこの4つの観点に収束するのか?」という点の方に強い興味がある*1.『論文の教室』をベースに「感情タグ」を定義し,この「感情タグ」を活用したアカデミックライティングのための文献読解支援システムを開発・運用して日本語論文は出したのだが,英語で国際会議のペーパーを書くと「『感情タグ』の定義の理論的背景はあるのか?」と必ずつっこまれるし,それに対する理論武装も私なりに試みたことはあるが「それでは読み手が納得しない」とことごとくダメ出しされて論文になる前に潰されてきた.これはひとえに私の実力不足なのだが*2.研究としては次のフェイズに進みたいと思っているが,やはりこれまでの研究の理論的裏づけをした上でアカデミックライティングの学習環境のあり方について英語論文としてまとめたいという考えもあるので,この「4つの観点」の背景をしっかり探りたいという興味は強く残っている.どこかで理論的な裏づけができそうな気がする.

ついでにこれまでのライティング研究で使ってきた「これまでのアカデミックライティングの教科書は『どう書くか』(how to write)のプロセスの解説に重点を置いてきたし,研究もそのプロセスを追求してきたものがほとんどだが,『何を書くか』(what to write)に関しては教科書でも研究でもほとんど言及がなかった」というロジックを何度も使ってきたが,これも本当はちゃんと調べておく必要があるのではと最近思うようになってきた.もちろん片っ端から相手にしていたら時間的にも体力的にも余裕がないので,問題発見に関する言及と,他の教科書に見られない特徴的な方略のピックアップに専念するつもりだが.『思考し表現する学生を育てるライティング指導のヒント』で「論文の書き方」本のサーベイ(pp. 239–248)があるのだが,このようなサーベイを狭く深くという形でしてみたいというイメージである(日本語のみとはいえ,調査対象の文献リストが大変参考になりありがたい).余談だが,この本のpp. 250–251に私達の授業実践の報告がなされた件についてごく簡潔に言及されている.

*1 ちなみに『ワインバーグの文章読本』(日本語訳pp. 34–36)の「エネルギーの法則」もこれに近い話だろう.具体的な「感情的反応」としては「喜び」「悲しみ」しか言及がないのだが.

*2 以前国際会議で感情とモバイルコミュニケーション環境の研究をしている研究者に関連研究を知らないかと問い合わせたら,"We Feel Fine: An Almanac of Human Emotion"という本を薦められた.しかしこれはこれで別の心理学・認知科学方面の裏づけがちゃんとあるのかという点が気になっていることや,何よりこの本を読む際のとっかかりがつかめないことがありあまり読み込めていない.


2013-04-25 (Thu) [長年日記]

_ 「フィールド」を対象にした研究が覆い隠すもの

……と,先月の話を思い出しつつ最近とある調べ物をしていてふと気づいたこと.

「『漫才』が『フィールド』か?」という疑問を持つ向きもあるだろうが,「フィールド」を対象にした研究が持つ問題点でもあるし,「フィールド」を対象としていなくても応用,ないし応用を見据えた基礎的検討の研究一般にいえる問題点という意味で捉えていただきたい.

学者体質でいるとどうしても『つっこみ力』も網羅的・体系的なサーベイになっているかどうかという疑問をはさむ余地を考えてしまうが,本の内容にもあるように笑いを対象にそのことを考えるのは野暮なのかも知れない.ただ,分析対象の背景を説明すること自体は,研究の意義を訴える上でも極めて重要.紙幅が足りなかったらせめてポインタになるような文献を示す程度でも構わないので,とにかくなぜその分析対象に目をつけたかを説明することが大事といえる.ここの説明がうまい研究者は相当少ないと思う(そしてそれができる研究者は大変優秀だとも思う)し,私は他人の研究にツッコミを入れる割にはいくら意識していてもちゃんとできている自信はあまりない.注意したいところである.


2013-04-24 (Wed) [長年日記]

_ マスメディア報道のステレオタイプな大学生像に疑問を持とう

もちろんこの見立てもスペキュレーションの域を出ないので,既存のデータや今後の調査の見直しの議論でご参考になれば,という程度の話であることは付け加えておく.


2013-04-14 (Sun) [長年日記]

_ ようやく重い腰を上げて……

……と言いながら,アップグレード初回はTwitterからの引用でした.これからちゃんと長文書きに頭と体を慣らし,生産的な生活を送りたいと思います.


2013-04-01 (Mon) [長年日記]

_ センター試験に「小論文」、平成26年度入試から

今朝,朝曰新聞の紙面を読んでいたら載っていたがデジタル版には未掲載のようなので以下転載する.どう思うか各自でご判断されたい.

文部科学省は1日、平成26年度大学入試センター試験から「小論文」を導入することを発表した。近年の受験生の学力低下、特に「書く力」の低下から導入を決定した。

経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査(PISA)でも順位を落としており学力低下を危惧する声が高まっている。特に記述式の問題の「無回答率」の高さが他国と比べて際立つ日本では、「書く力」の養成が急務である。また産業界からもコミュニケーション能力の向上の一環として学生の文章能力の養成が求められていることもあり、センター試験への導入を決めたようだ。

試験問題はPISA、国際バカロレア資格試験など国際的な試験の水準に合わせ、既存の大学入試の小論文試験とは一線を画す内容を課す模様。出題例として「一般市民の科学的思考能力を高めるために教育とメディアが果たす役割を述べよ」「再生可能エネルギーの積極的導入が日常生活に与える悪影響を具体例を挙げて述べよ」「山本七平の文章の抜粋を読み、『空気』の定義は妥当か述べよ」などが挙げられている。

答案の採点は、試験問題の高度化に対応するため近年問題化している大学院博士課程まで進学しながら職が得られない人材を活用し、雇用対策も兼ねるとしている。ただしあくまで高学歴人材問題の解決までのつなぎの対策とし、将来は自動採点技術の開発により採点の自動化・迅速化を図るとしている。採点の精度は現時点でも高いレベルに達しており、近い将来の実用化は十分可能であると関係者は胸を張る。

「若者の書く力の低下を食い止め、グローバル化する社会の競争に耐えられる人材が輩出できるよう、センター試験の小論文導入を積極的に推進したい」と関係者は強い口調で記者の取材に答えた。

……引き続き,1年に1度の馬鹿祭りをお楽しみください.

_ テレビカー、第二の人生 赤字路線の救世主となるか

今朝,束京新聞の紙面を読んでいたら載っていた記事.こちらも紙面のみでWebに記事が出ていなかったので転載する.

3月31日でラストランを迎えた京阪電鉄のテレビカー(旧3000系特急車)。すでに京阪の路線では引退し、富山地方鉄道や大井川鉄道へ譲渡され「第二の人生」を送っている車両もある。しかし「あくまでテレビカーとして第二の人生を送ってほしい」と譲渡に名乗りを上げた鉄道がある。慢性的な赤字で路線廃止の危機にある明光電鉄である。

「テレビのないテレビカーなどただの中古車両。テレビカーはテレビがあってこそ」と明光電鉄の山田信俊社長(57)は語気を強める。大手電機メーカーを40代半ばで退職、子供の頃からの夢だった鉄道員に憧れ転進し昨年社長まで昇り詰めた異色の経歴をもつ。

譲渡されたテレビカーでもテレビを楽しめるよう、地上デジタル放送のみならずBS放送、CS放送にも対応できるよう、地元ケーブルテレビ局が普及のPRも兼ねて技術協力する。座席には全席にリモコンを完備。乗客が好きなタイミングで好きなチャンネルを選んで視聴できる仕組みとしている。

「最近はワンセグも普及してテレビが一人一台の時代になっている。都会の人も是非足を運んでいただいて、せめて電車の中ででも古き良きチャンネル争いの時代を味わってほしい。」客足を取り戻すべく、山田社長は意気込みを取材陣に語った。

……引き続き,1年に1度の馬鹿祭りをお楽しみください.


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